老舗とスタートアップ。立場も業種も異なる二人に共通していたのは、「長崎で新しい挑戦を続けている」という姿勢でした。
ONE DEJIMA代表・遠山さんと、稲佐山観光ホテル専務・小林さんによる今回の対談では、業種を超えた連携や、100年に一度の変化の中にある長崎の魅力と可能性まで話題が広がりました。

遠山さん
今日は、以前からゆっくり話してみたいと思っていた稲佐山観光ホテルの小林専務をゲストにお招きしました。

小林さん
こんにちは。稲佐山観光ホテルの小林です。よろしくお願いします。
今回、遠山社長から対談相手にご指名いただいたということで、大変光栄です。そして同時に恐縮しています。

正直、最初にお話をいただいたとき、「なんで、なんで、なんで」と三回聞いたくらいです(笑)。
なぜ私なのか、その理由をぜひお聞きしたいと思っていました。

「チャレンジ」という共通点

遠山さん
稲佐山観光ホテルは、長崎では老舗のホテルですよね。
でもお話を聞いていると、長崎の柑橘「ゆうこう」を使ったジン「ウラジン」を作ったり、ちゃんぽんスープを使ったカレーを作ったりと、家業を継ぐだけではなく、新しいことにも挑戦されています。

私たちも、シンガポール本社の仕事をただやるだけではなく、「新しいことをやれ」と言われている立場なので、その姿勢にすごく魅力を感じました。それで、詳しくお話を聞いてみたいと思ったのです。

小林さん
ありがとうございます。
出発点は「自分がやりたい」「好き」という気持ちです。

最初のチャレンジは、カレー好きが高じてレトルトカレーの開発を始めたことでした。単にカレーを作るのではなく、「長崎の地域活性化にどう貢献できるか」という視点は意識しました。

ちゃんぽんスープを隠し味にしたのもその一つです。また、スパイスは南蛮貿易の時代から長崎に入ってきています。出島ではスパイス貿易が行われていたんです。
そのストーリーがとても面白いと感じて、商品の特徴として取り入れました。

パッケージにもこだわり、長崎の和・華・蘭要素を取り入れています。パッケージは国際的なアワードで金賞を受賞しました。

長崎の和・華・蘭文化を表現したパッケージ。
パッケージの国際デザインアワード「Pentawards」で金賞を受賞。ロンドンでの授賞式。

小林さん
長崎ならではのストーリーを共有した上でデザインを作ってもらえたことが良い仕上がりと結果につながったと思っています。
「ウラジン」を作ったのも長崎の伝統柑橘である「ゆうこう」を使うことで、長崎の魅力のひとつになればいいなという発想からです。

長崎の伝統柑橘「ゆうこう」を使用したジン「ウラジン」。

小林さん
そのため、観光業の枠から逸脱しているというよりは、その枠の中で新しいことをやっている、という感覚です。

夜の街に息づく長崎らしさ

小林さん
稲佐山観光ホテルは夜景が楽しめることを売りにしています。
駅周辺や港周辺が随分整備されてきて、すごく洗練されてきたと感じます。

稲佐山からの夜景


小林さん
市も、街灯の色味を変えていて、その効果もあって全体的に温かみのある夜景に変化してきています。
宿泊アンケートからも、夜景に対する評価が昔に比べて上がってきているように思います。

「夜歩いて楽しいまち」を目指した夜間景観整備の一環で
あたたかな色味の街灯へ

遠山さん
確かに印象は変わりましたよね。

小林さん
そして、どこから見るかによって、表情が全然違う。
それぞれの良さがあるので「稲佐山の夜景」だけで語られてしまうのは、少しもったいないなと思っています。

遠山さん
鍋冠山からの夜景、いいですよね。

小林さん
そうなんですよ。鍋冠山から見る夜景は、港が近くて、長崎らしいすり鉢城の地形や夜景の立体感がすごく伝わるんです。

鍋冠山からの夜景

遠山さん
そして、長崎の夜には、魅力的な飲食店のラインナップもありますね。

小林さん
思案橋や銅座のスナックも含めて、夜の街には長崎らしい文化がたくさんあります。観光の文脈で語られることは少ないですが、スナックでの会話や人との距離感は、長崎を好きになるきっかけになることも多いと感じています。

遠山さん
海外の方に長崎を案内すると、「ご飯がおいしい」「お酒がいい」と喜ばれることが多いです。「長崎ではこんなにおいしい魚が食べられるなんて、来るまで知らなかった!」と言われることもあります。
また、先日はシンガポールからのゲストをバーへ案内したのですが「こんなに雰囲気のいいバーがあると思わなかった。シンガポールにあったら通いたい。」とも言っていました。そういう個人が営む雰囲気のいいバーやスナックが結構ありますよね。それが魅力的に映るし、実際に喜ばれるんです。

国内外からのビジネスパーソンとの長崎観光の様子。夜は飲食店やバーへ案内しました。

小林さん
福岡が滞在される観光地になっているのは、食のバリエーションがあることが大きいそうです。それで言うと、長崎も負けてはいません。今持っているポテンシャルで十分に通用すると思っています。
ただ、それをうまく伝えきれていないもどかしさも感じています。
1泊2日ではもったいないまちだと思います。できれば1週間くらい滞在してもらえたら、長崎の良さはもっと伝わるはずです。

もしコラボするとしたら

遠山さん
この100年に一度の変化のタイミングで、個々で頑張るだけでなく、横で手を組んで何かしようという議論はあったりするんでしょうか。

小林さん
観光面で言うと、中心になっていくのは観光コンベンション協会、DMO長崎です。DMOの会議でも、宿泊業だけじゃなくて、飲食店なども含めて、もっと横の連携を強くした方がいいんじゃないか、という話は出ています。
横の連携が強くなると、長崎の魅力をより多くの人に伝える力が出てくると思います。

遠山さん
私たちも、何か長崎の力になりたいと思っています。
ONE DEJIMAを設立してから、国内外を問わず、社内外の多くの方が長崎に来てくださるようになりました。そうした関係性の近いビジネスパーソンに長崎についての意見を伺い、そこから得たアイデアをもとに実験的な取り組みをしてみる。そしてそれを地元企業の皆さんと一緒に進めていくことができれば、地域への貢献にもつながるのではないかと思っています。

小林さん
全然あり得ると思います。ONE DEJIMAさんは、長崎市内では数少ないグローバル企業ですし、世界に向けた発信力を連携して生かすのは、可能性があると思います。

遠山さん
日本人のゲストでも「長崎は修学旅行以来だけど、こんなに変わったの?」「 大人になって回ってみると、こんなにコンテンツのあるいいまちなんだ」とよく言われるんです。だけど、ちょっとアピールが下手だよねとも言われます。
奇をてらう必要はなくて、今あるコンテンツをもっと伝えられたらと思っています。

小林さん
異業種での連携面白そうですね。しっかり「また来たい」と思ってもらえるようなサービスを提供していけたらと思います。

これから長崎でやりたいこと

遠山さん
最後に、それぞれの未来について話しましょう。

小林さん
ホテルとしては、お客様に喜ばれる施設とサービスを提供することが基本です。その上で、長崎を「平和をつくるまち」として発信できないか、模索しています。未来の平和をつくる人材を育てるまちとして、長崎が世界に認知されるような取り組みに関われたらと思っています。

2022年に始まった「折り鶴プロジェクト」。
従業員やゲストが折った折り鶴を千羽鶴にして、平和公園へ届けている。

遠山さん
私たちは、「この会社で働くために長崎に行く」と言われる存在になりたいと思っています。人が集まれば、文化が生まれ、交流が生まれる。長崎を人の交差点にして、そこから新しい文化が生まれていく。そんな中心地を目指していきたいです。

UIターン、新卒採用を積極的に行っているため、オフィスを増床した。
県内のみならず、県外の大学でも会社説明会を実施中。最終的に120名規模を目指している。
国内外から長崎へ集まったONE DEJIMAの仲間たち。

遠山さん
また、構想段階ではありますが、長崎市内外の事業者と連携し、ONEグループ従業員に向けた長崎フェアをしたいと思っています。
親会社のONEは、53カ国に事業体があり、世界に8,000人の従業員がいます。 みんな、自分たちの親会社は日本の企業が集まって作った会社だと当然知っていますので、少なくとも日本に関心を持っていますので、従業員向けに長崎フェアを開催したら、いろんな国に長崎の良さが伝わるのではないかと考えています。

小林さん
お互いに協力できるところは連携しながら、それぞれの道を進んでいけたらと思います。

遠山さん
これからもよろしくお願いします。

小林さん
よろしくお願いします!

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