課題かもしれない。でも資源にもなる!

ーさかのうえんについて教えてください。

さかのうえんは、そのままでは活用できない長崎の斜面地にある空き地を、畑として整備することで、再び資源として活用するための取り組みです。坂と農園を組み合わせて「さかのうえん」と名付けました。

長崎の斜面地は人口が減っていて、高齢化もかなり進んでいます。正直、地域としては厳しい状況にあります。
ただ、実際に来てみると、眺めが良かったり、日当たりが良かったり、静かだったりとたくさんの魅力がある場所です。
その良さを生かしながら、人が集まり、若い人にも興味を持ってもらえる場所をつくりたいと考えていました。斜面地の空き地をどう使えば、地域の人にも、来る人にもメリットがあるのかと考えて行き着いたのが、「畑にする」という選択でした。

事務局の仲間との畑仕事。

ー斜面地に通うのは大変ではないですか?

街を見渡せる眺望なので、とても高い場所、つまり不便な場所にあると思われるかもしれません。
ですが、新地中華街から歩いて10分ほどで来れるんです。街中から近く、意外と便利なんです。
手入れをするために、週に1度は来ているかと思います。僕がいけない時は、仲間が行ってくれます。

今日は長崎の伝統野菜の「唐人菜」を収穫しました。長崎の伝統野菜には、中国から伝わったものもあります。「唐人菜」もその名の通り、中国由来です。

江戸時代は、畑のあるこのあたりは段々畑だったとの記録があります。もしかしたら、400年前に同じ場所で唐人菜を栽培していた人がいるかもしれないと考えると、夢がありますね。

長崎市の伝統野菜

斜面地の農園ならではの魅力


ー斜面地の農園ならではの魅力は、どんなところにありますか?

まずは日当たりがいいことです。野菜がよく育ちます。
それから、眺めがとても良いんです。畑からこんなビューが楽しめるなんて、坂のまち長崎ならではです。
この眺めを見ながら気持ちよく農作業ができるのも大きな魅力だと思います。

「こんなビューで畑仕事ができるまちって他にあります?」と平山さん。

ー本当ですね。畑からこの眺めは絶景かもしれません。ちなみに、畑にする場所は、どのように見つけているんですか?

農園にする場所は、地域の自治会の方が探してきてくださることが多いです。
この地域には、自治会で空き地を管理する仕組みがあります。つながりを持たれているので、どなたかに相談したりお願いしたりすれば、「さかのうえんが空き地を探しているようだ」と情報を共有していただけるのです。

「ここで畑をしたい!こんなことをやってみたい!」と、考えていることを誰かに話す、表現するのが大事だなと思います。そうすると、実現のために助けてくれる人とつながれるんです。

仲間と一緒に料理して食べるところまで活動の一環。


ー畑にする場所を検討するときに大事にしているポイントは何ですか?

おおきく3つあります。

1つ目は、水が近くで手に入ること。水を運んでくるのは大変ですので、水場を確保するようにしています。

2つ目は、集会所など、人が集まれる場所が近くにあること。
実は、農機具などの道具は、ご厚意で近くの集会所の倉庫をお借りして置いているんです。集会所は、夏場の休憩所として利用したり、ちょっとしたイベントや打ち合わせをするときにも使わせていただいています。「使ってよかよ!」と、倉庫の鍵まで預けてくださっていて、ありがたいです。

3つ目は、通りかかる人が畑の様子を見てくれる道沿いにあることです。
畑をしていることを知ってもらい、自然に会話が生まれる場所を選んでいます。地域の方とコミュニケーションが取れるかどうかはとても大切だからです。

とれたての野菜をその場で調理。

畑で、畑仲間と食べるご飯。キャンプ場まで行かなくてもこの絶景で食べられる。

ーさきほども近所の方と会話されていましたね。

そうなんです。畑をしていると声を掛けてもらうことがあります。
一人で作業していると、やっぱり寂しいんですよね。
地域の方が話しかけてくれるだけで、すごく嬉しいですし、楽しくなります。

「もっと水をやったほうがいいよ」とか、
「花が咲いとったよ」とか、
そういう声かけが自然に生まれるんです。

気づけば名前を知る関係になっていて、畑を通して、無理なく地域のかたとのつながりが生まれていきます。地域のつながりをより良くする機能も果たしているかもしれません。中には、さかのうえんを借りてくださっている方もいるんですよ。

家族で畑をする人たちも。

ーなるほど、斜面地の空き地が畑となり、新しいつながりを生む場所になっているのですね。

そうです。他にも、取材に来てくれた記者さんが、そのまま畑を借りることになったこともありました。
最近では、市内の学校が体験学習として畑仕事をしてくれたり、福祉事業者と連携してさまざまなハンディを抱えた方が作業する場にもなっています。畑を中心に、人と輪が生まれ、教育や福祉の領域にも輪が広がっています。

畑をまんなかにたくさんのつながりが生まれている。こどもたちとの交流も。

ー運営はどのようにしているのですか?

現在、農園は全部で5カ所あり、そのうち2カ所で貸し出しをしています。
それぞれの農園には、およそ10区画ずつあります。

耕すだけでなく、のんびりおしゃべりする場所でもあります。

利用者には、月500円の共益費をお願いしています。
この共益費で、農具をそろえたり、水を使えるようにしたりしています。
特別な準備をしなくても、基本的には手ぶらで畑を始めることができるので、農業に馴染みがないかたでも気軽に始められます。

「食」と「斜面地」の掛け合わせ!


ーもともと農業に関心があったのですか?

農業の経験はまったくありませんでしたが、「食べること」は誰にとっても欠かせないことだと思っていました。都市政策や都市計画を学んできた中で、都市になるほど、食や農が遠くなっていきがちです。そのことを僕自身はリスクだと感じていました。

「育てた野菜を収穫するのは、想像していた以上に嬉しい体験です」と平山さん。


ー街に近い畑の魅力について、どう感じていますか?

長崎は海も近ければ、緑も近いまちです。街からすぐ歩いて来られる場所で、緑と触れ合える。斜面地は路地が入り組んでいて、歩くたびに風景が変わるので、畑に向かう道中も風景の変化を楽しめるんです。

私は市の職員をしていて、長崎市の中心部にもっと公園がほしいという声を聞きます。一方で、斜面地には空き地が増えてきています。
空き地を畑にすることで、公園のように緑と触れ合い、人が交流できる場所がまちなかに生まれるという捉え方もできるのではないかと考えています。

見方を変えれば、畑は「緑や土に触れ合える公園」

畑をまんなかに広がる地域のかたとの交流

ーこれまでの活動で、印象に残っている出来事はありますか?

地域のバザーに呼んでいただいたことです。
採れたてのチンゲン菜やお芋を持って行ったら、すぐに売り切れてしまいました。本当に驚きましたし、地域のかたに喜んでもらえたのが、すごく嬉しかったです。
自治会のかたはとても繋がりが強くて、情報共有も速いので、お裾分けの野菜もすぐ無くなります。

自治会のみなさんが情報共有されて、すぐになくなるそう。


ー大変だったことはありますか?

空き地を畑にする作業にはパワーを使います。斜面地の空き地は、昔家が建っていた場所も多いので、掘るとがれきが埋まっていることがあります。

がれきを取り除く作業は、本当に大変です。でも、それを乗り越えると畑になる。生みの苦しみはありますが、その先の楽しさや嬉しさを知っているので頑張れます。

アクティビティが生まれる場をつくりたい


ー今後、どんな広がりを考えていますか?

僕にとって畑は、遊び場であり、もうひとつの家みたいな感じです。こうした畑を、もっと増やしていきたいです。
そして、畑だけでなく、斜面地を遊び場として活用することもできると思っています。例えば、グラウンドゴルフなど、ちょっとしたアクティビティが生まれる場所にしていけたらいいですね。

畑は、まだ空きがありますので、やってみたいというかたは、ぜひ連絡してください。事務局として、一緒に汗をかいてくれる仲間も募集しています。
もちろん、畑以外の活用に興味があるかたもお待ちしています。

一緒に、長崎を楽しく変えていけたら嬉しいです!

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