私が作品を深く味わい、楽しむ方法

ー普段は、長崎市を拠点にモデルのお仕事をされているそうですね。
はい。長崎市を中心に九州全域で広告モデルとして活動しています。活動を始めたのは2020年頃、コロナ禍でした。
SNSを見る時間が増えて、私にも何かできることはないかなと思い、SNSで「モデルをやります」と発信し始めたのがスタートです。徐々にお声掛けいただくようになって、お仕事としてモデルの活動が増え始めました。

2024年の秋に長崎スタジアムシティが開業したこともあり、現在は長崎スタジアムシティのツアーガイドとしても活動しています。普段は入れない選手のベンチや、人工芝のピッチを歩いたり、新しくできた施設の楽しみ方などをご案内をしています。
老若男女、幅広い世代のお客さんと会ってお話ができるのがとても楽しいですし、人に喜んでもらえるやりがいのある仕事です。
ー聖地巡礼とコスプレ、どのくらいの頻度で楽しまれていますか?
アニメやドラマを見て、舞台になった場所が近くにあると出掛けます。コスプレは仕事がお休みの日、長崎市を中心に月に2〜3回程度楽しんでいます。
聖地巡礼のきっかけとなった作品は、アニメ『バケモノの子』でした。
地元川棚町がモデルとなったシーンがあって、作品を見たときに「この場所、近所にある!」と思ってすぐに出掛けたんです。
まるで自分がアニメの世界に入り込んだような不思議な気分になって、太陽光の差し込み方まで忠実に再現されていたことに驚き、「聖地巡礼」の楽しさを知りました。

コスプレは3年前、モデルの活動を始めて撮影に慣れてきた頃、「新しいことに挑戦したい、好きなことなら続けられそう」とお気に入りのキャラクターのコスプレをやってみたことから、ハマってしまいました。
ー作品の舞台となった場所を訪れる聖地巡礼では、どんなところに出掛けましたか?

今日、コスプレしているアニメ映画『きみの色』は公開後すぐに観に行って、その後、早速どんどん坂、グラバー通り一帯を周りました。
アニメ『色づく世界の明日から』の聖地、石橋電停や鍋冠山などにも行きましたよ。実は、ここ「東山手十三番館」も同アニメの聖地で、私のお気に入りの場所なんです。
普段は何気なく通り過ぎて見慣れているまちも、作品を通して見てみると新鮮で、こんなにいいところだったんだなと感じます。そんな視点を与えてくれるのも、聖地巡礼の楽しいところです。
アニメだけじゃなく、ドラマのロケ地にも行きました。テレビドラマ『君が心をくれたから』で印象的なシーンだった眼鏡橋のシーンや、赤い傘をさすシーンも再現して楽しみました。東山手甲十三番館も登場していましたよね。

なりきるだけでなく、衣装や装備の制作、ヘアメイクなど、自分で一からつくり上げていくクリエイティブな楽しさもあり、奥が深い世界だと思います。
ー聖地巡礼やコスプレを始められてから、ご自身にどんな変化がありましたか?
充実した時間を過ごせるようになりしましたし、娘と一緒にコスプレして長崎市のあちこちにお出掛けする機会が増えたことで、これまで以上に自分も娘もまちに興味を持つようになりました。
また、コスプレを通して表情やポーズなどの表現力、自分の殻を破るような感覚が磨かれて、モデルの仕事にもいい影響が出ているんじゃないかなと感じます。

ー心から楽しむことで、いい変化が起こっているんですね。
最近では、コスプレに興味はあるけど一歩踏み出せないという友人に、衣装を貸したりメイクをしてあげたり、という機会もありました。
普段はおとなしい人なんですが、コスプレが完成するとキャラクターになりきって元気いっぱい。「すごく楽しかった」と目をキラキラ輝かせる姿に、コスプレのパワーを感じました。

コスプレを始めるのに年齢は関係ありません。何歳からでも楽しめます。私が知る限りでも、60代でコスプレを楽しんでいる方がいらっしゃいます。
すごく楽しいので、1人でも多くの人に挑戦してみてほしいです。自分が好きなキャラクター、人物からスタートするのがおすすめですよ。
和華蘭文化のある長崎市は、最高の舞台

外国人居留地や中華街をはじめ和華蘭文化が息づく長崎市は、どこで撮影しても絵になります。次はどこで撮影しようか悩むほど、コスプレイヤーにとっては夢のような恵まれたまちです。
和(日本)、華(中国)、蘭(西洋)、の要素があるので、着物もチャイナドレスもドレスも着られるんです。1つのまちで、あらゆる世界観の作品を再現して撮影が楽しめる場所は、全国を探してもどこにもありません。

聖地巡礼とコスプレが生む、人とのWA
ー変化の時を迎えた長崎市で、聖地巡礼やコスプレを通してどのような人の輪が生まれていますか?
コスプレと聖地巡礼の楽しみのひとつに、そこで出会う人たちとの交流があります。どちらも、同じ作品が好きな人に出会える、待ち合わせ場所のような存在です。

例えば、コスプレをしていると「記念撮影いいですか?」と声を掛けられることがよくあるんです。全く知らない人どうしでも、大好きな作品という共通の話題ですぐに打ち解けられますし、自分が楽しんでいるコスプレで誰かを笑顔にできたかと思うと幸せです。

昨年、長崎ランタンフェスティバルで記念撮影をご一緒したかたが、後日「赤司さんとの記念撮影がきっかけでコスプレを始めました!」とメッセージをくれました。
個人的に好きなことも、一歩外に踏み出して誰かと交流してみると、いろんなきっかけや影響を生むことができるんだなと思いました。そんな出会いから友だちになったり、モデルのお仕事につながったこともあります。
長崎スタジアムシティができて、私もツアーガイドという新たな活動を始められましたし、新しい人の輪が広がっていると感じます。

もっと増えてほしい、長崎市が舞台の作品
ー聖地巡礼やコスプレを通して、今後の長崎市にどのような期待を感じますか?
長崎市では、ドラマのロケツーリズムやアニメツーリズムに力を入れられているのがとてもうれしいです。聖地巡礼やコスプレに対する理解が徐々に広がっているのを感じます。

長崎市を舞台にした作品が増えているので、多くの人との交流が生まれているのではないかなと思っています。
アニメやドラマなど「好き」を通じて、年齢や職業を超えた交流が生まれたり、新しいことを始めるきっかけになったり、地域を盛り上げる力にもなったりするのって、最高だと思いますね。
ー今後、長崎市で新たに楽しんでみたいことは何でしょう?
1人で楽しんできた聖地巡礼やコスプレを、もっと多くのかたに楽しんでもらいたいです。
3月中旬にデジマメッセで開催された、長崎市最大のサブカルイベント「dendera」(デンデラ)というイベントでは、コスプレ撮影会や同人誌の販売、アニソンカラオケ大会などを行い、たくさんのアニメファンでにぎわいました。
街中でのコスプレにハードルを感じる初心者のかたも、コスプレが当たり前のイベント会場だったので、安心してのびのびと楽しんでいただけたようで、すごくうれしかったです。

100年に一度の変化の時を迎えた長崎市が、これまで以上に注目を集めることで、アニメやドラマなど作品の舞台となる可能性も高まるのではないかと思います。
今年のランタンフェスティバルには、コスプレのキャラクターを変えて5回もお邪魔しました。雪の日は寒かったけど年に一度のチャンスなので、遊び尽くしました。
また今年はアニメ『薬屋のひとりごと』とのコラボ企画で、県外から多くのかたが来られていましたよ。コスプレイヤーのかたともお会いできました。
今後も作品とのコラボ、コスプレイベントや聖地巡礼ツアーなどをきっかけに、いろんな人とつながって、長崎市を盛り上げていきたいなと思います。
(終)
OTHER
POSTS